ホットハッチ頂上対決 フォーカスRS vs メガーヌR26R vs ランエボX 前編

公開 : 2018.07.24 18:10

不満はトルクステア

だが、不満がないわけではない。さほどひどくはないが、時折トルクステアが顔をのぞかせるのだ。加速時に路面のカント変化に遭遇すると、ステアリングがわずかに取られてしまう。RSはレボナックル式フロントサスペンションを採用し、キングピン軸(左右に操舵する際の中心軸)とタイヤの接地中心との距離が短くなっている。

この距離(キングピン・オフセット)が長いほどトルクステアは大きくなる傾向があるのだが、レボナックルの場合、キングピン・オフセットは標準的なサスペンションの値のおよそ2/3しかない。なお、R26Rに使われているダブルアクシス式ストラットも、少々異なる特許に基づくものだがほぼ同様な効果をもたらす。

フォーカスRSはドライブトレインもスムーズだ。大幅なチューニングが施されているにもかかわらず、エンジンはとても扱いやすい。刺激的な過給音や、ポンポンはじける排気音から想像するほど神経質なユニットではない。このRSの5気筒サウンドだが、待ち合わせのパーキングに先に到着してわたしを待っていた同僚の顔に浮かんだ表情を見る限り、とても魅力的な音色のようだ。

アルプスの山中でわれわれがテストの舞台に選んだのは、モンテカルロ・ラリーのSSの一部を通るルートだった。山を下る曲がりくねった道が数kmほど続いていて、われわれは写真撮影を早めに済ますとその区間を何度も往復した。

後編へつづく

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