楽しさのR26R

では、R26Rはどうだろう？　このクルマは直線路ではランエボほど速くはないが、機敏さではまったく互角だ。乗り心地は似たような傾向で硬いが、ランエボにはないしなやかさと洗練度を備えている。

ランエボではリアが跳ね上げられるようなバンプでも、R26Rのタイヤはすぐに路面とのコンタクトを取り戻し、トラクションが回復する。もちろん特殊なタイヤが寄与している部分もあるだろうが、それだけではない。軽さが効いているのだ。R26Rはランエボよりもトラクションの回復が早く、ボディの動きの乱れも少ない。

わたしは最近のルノーで、ステアリングが素晴らしいモデルに出会った試しがない。R26Rもシャシーの能力は優れているのに、ステアリングが軽すぎる。ただし、ルノーのほかのモデルに比べると、確実にリニアで正確である。だが、伝わってくるフィールに乏しい。トルクステアも出る。ダブルアクシス式サスペンションはGKN製のLSDが働いているときはトルクステアが少ないが、完全に消えるわけではない。

超ハイグリップタイヤのおかげで、ドライ路面であれば（「かなり濡れた」程度の路面ならいいが、冠水路面では性能が極端に低下する）R26Rのグリップレベルはランエボと同等かそれ以上に達する。その限界は確認できるレベルを超えている（思い切りハードに攻めるとわずかにアンダーが出るが）。それでいて、全力の8割ほどのペースで走らせていても、このクルマはたまらなく楽しい。

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