速さのRS

オプションのチタン製エグゾーストは迫力たっぷりの魅力的なサウンドを放ち、加速能力、ブレーキ性能、機敏な回頭性も素晴らしい。現在はおろか過去をさかのぼっても、前輪駆動車として最高水準のクルマである。これまでに乗った公道モデルの前輪駆動車でこれに匹敵するのは、ホンダ・インテグラ・タイプRだけだ。

いや、もう1台、フォード・フォーカスRSがある──そう言えるようになるのだろうか？　それを確かめてみよう。

まず、フォーカスRSは、R26Rとは明らかにアプローチの異なるクルマである。R26Rよりも重く、どっしりとしている。そしてそのぶん、強烈なパワーを発揮するエンジンを搭載している。その304psを、RSのフロントタイヤはきっちり受け止められるのだろうか？　答はイエスだ（ただし、1速ギアではスリップする）。

ステアリングを切っている状態でもそれは変わりないが、不思議なことに、直進に近いほうがトルクステアがより顕著に現れる。初代RSのクワイフ製LSDならば、スロットルを開けたままコーナーに飛び込めたはずだ。だが、最新RSはそうではない。セルフセンタリングが弱まってしまい、スロットルを踏んでコーナーから立ち上がるときに、ステアリングを意識して戻さなければならない。

そのステアリングはボディと同様、R26Rよりもどっしりとして重い。それだけに確かなフィールが感じられる。そして、その手応えは調節できる。コンフォートを選ぶと軽くて扱いやすい。ノーマル、スポーツの順にアシストが弱まり、手応えが重くなり、フィードバック量が増えていく。

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