AUTOCARアワード2018 勝者は?

公開 : 2018.05.27 12:10

ホンモノの機敏さ

しかし今度のはまったくちがう。ベースのシビックじたいがはじめからタイプRを想定して開発にあたったとされ、タイプRの要件にあわせた設計箇所が逆に他のモデルにいくぶんしわ寄せをきたしたところさえある。フロアは浅いし、着座位置と天井も今の基準では低すぎる。

そうしてできあがったタイプRは、たんにFFハッチバック車としてニュルブルクリンク北コースの最速ラップをたたき出せただけでなく―それだけでも大した偉業ではあるが―、ホンモノの機敏さを手にいれた。

扱いやすいだけでなく、コーナリングも乗り心地もすばらしい。直線の速さはいうに及ばず、しかも高速道路では6速に入れてしまえば、落ちついて快適で洗練された高速巡航能力にどっぷりひたることもできるのだ。

そしていちばん特異なことは、シビックは何でもうまくこなせてしまうのだ。ライバルたちが自分の守りぬいてきた特長から1歩も踏みださないのを逆手にとり、ホンダがそれらの特質を融合させて自分の持ち味としてまとめあげたのは、必然だったのかもしれない。もはや死角の見当たらない3万1525ポンド(471万円)のタイプRは、し烈な競争にうち勝ってお手ごろドライバーズカー部門の勝者となったのだ。

もっとも、ルノー・スポールが送りだす新しいメガーヌの挑戦をはねのけて連覇を目指すとなると、これからもたゆまぬ改良が必要となるだろう。

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