イシゴニス賞 豊田章男(トヨタ自動車CEO) AUTOCARアワード2018

公開 : 2018.05.26 11:40

62歳、まだまだ「若造」

「祖父は57歳で亡くなったので、会社やクルマの発展を見届けることはできませんでした。さぞ無念だったろうと思います。わたしはもう62歳です。奇妙に聞こえるかもしれませんが、最近、祖父の代弁をしているように感じる時があります」

「祖父だったらこういうだろうなということを言っているんですよ。祖父には会ったことはありませんが、両親からの話や、祖父がお付き合いした多くのディーラーさん、サプライヤーさんからの話を通じて、わたしはぜったい彼を知っていると感じます。このことは常に考えています」

時間が来てしまったので、最後にもうひとつ質問をした。あなた自身は今後どうするおつもりですか? 企業の3代目は「すべてを潰す」と言われていると彼から聞いた。では日本の伝承では4代目はどうなるのだろう? そして次の社長候補は決まっているのだろうか?

予想通り、豊田は答えをはぐらかせたが、会社をうまく方向転換させてきたことに少し満足しているようだ。「もし3代目が成功したら」と彼はいう。「4代目は単なる後継者に戻ります。それでいいじゃありませんか」

豊田には、そう、引退する前に達成したい遥かなる特別な目標があるのだろうか? またもや詳細は語らない。ひとつには、多くの日本の実業家と違って62歳の豊田章男は「若造」だから。もうひとつには、彼が熱心に語るように、近づけば近づくほどゴールポストはさらに遠ざかるからだ。

「ものを成し遂げようとしたならば」と彼はいう。「それは終わりなき旅の始まりなんです」

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