AUTOCARアワード発表目前 これまでの5つ星獲得車 前編
公開 : 2018.05.26 00:10 更新 : 2018.05.26 10:39
フェラーリ458イタリア
「画期的なクルマ」、8年前われわれは458イタリアをそう評した。MTの用意がなくなったことと、かなりふところにズシンとくる価格―先代のF430より5万ポンド(739万円)も高い17万8000ポンド(2632万円)をつけてきたのだ―は疑問なしとはしなかったが、それ以外はこのマラネロから来たばかりのV8ベルリネッタにはケチのつけようがなかった。
記事にもこう残っている。「これまで乗ってきた傑作にもハンドリングでは負けない。とくにロータス・エヴォーラやノーブルM600のような比較的最近の超高価格・高性能スーパーカーが相手でも、性能は匹敵するどころかおおくの場合うわまわる」
こんにちのスーパーカーがくり広げるパワー競争の中でも、458イタリアは光っていた。先代を80psほども上まわる570psをほこり、持ち味のピークへむけた指数関数的な加速の伸びは、670psの488 GTBや720psのマクラーレン720Sといった絶対パワーでは上手をいくターボ車ではえられない。
458は残存価値もすこぶる高い。イギリスでは左ハンドルなら12万ポンド(1775万円)以下でも見つかるが、右ハンドルとなれば14万ポンド(2070万円)はみておかないといけない。信頼性もフェラーリの市販車で随一のようで(生き残りが多いともいえる)、大きな不具合の報告はみあたらない。
維持費の安くてすむミドシップのスーパーカーなどないが―タイヤ4本だけでも1000ポンド(14万7000円)は下らない―、458は新車の時点で、数々の引きつぎ可能なメンテナンス・パッケージ込みで売られている。
まだ新車から7年間のフェラーリ純正メンテナンス・プログラムで毎年の点検をまかなえるクルマも多いだろう。追加料金を払えば、無料点検期間を12年まで延長することもできるので、まだ保証期間内の個体も多数あることになる。
テスターの意見
いろいろきいてみた限り、わたしのようにスペチアーレよりもイタリアのほうを好むのは少数派らしい。こっちだって運転の楽しさはスペチアーレの95%くらいはある。
走りっぷりはあざやかとしか言いようがないのに、ふだん使いにこたえられそうなくらい静かで快適でもあるのだ。スタイルも、現代のフェラーリでもっとも魅力的だとおもう。