ロードテスト アストン マーティン・ヴァンテージ ★★★★★★★★★☆

公開 : 2018.06.16 10:10

 

はじめに ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

アストン マーティンは、この全長4.5mの新たな2座クーペを形容するのに「アグレッシブ」や「プレデター的」といった言葉を使う。そして圧倒的に、FRのスポーティなGTではなく、スポーツカーと呼ぶことを好む。

もちろん実際には、新型ヴァンテージも長いボンネットを持ち、キャビンが後退したシルエットのFR車で、一般的にはモダンなGTクーペと定義され続けるだろう。とはいえスタイリングは、繊細な美しさを備えた先代モデルと大きく変わっている。新型の大きく印象的なフロントグリルは、このクルマを生んだクリエイターたちが、こぎれいな見た目にそれほどこだわっていなかったであろうことを象徴する。それよりもおそらく、このクルマと対面した時にそれとわかること、そして個性的だと感じることを重視したのだろう。

新型の寸法は、先代より全体的に拡大している。その差は全長が80mm、全幅もほぼ80mm、全高はわずかな違いだが、ホイールベースは100mmも伸びている。接着工法を用いたアルミプラットフォームは、DB11のそれと関連の深いものだが、70%は新設計で、車体剛性は30%向上している。

510psの4.0ℓV8は、ほぼフロントアクスルより後方にマウントされ、プロペラシャフトでリアに置かれた8段ATと接続されるが、これらはDB11にも用いられるコンポーネンツ。前後重量配分は、アストンでは50:50の理想値と主張するが、われわれの実測値は49:51だった。

さらにいえば、車重は実測1720kgで、あらゆる重量軽減オプションを選択すれば乾燥重量1520kgまでダイエットできるというのがアストンの言い分だ。それでも、ライバルの中には1400kgを切るものがあることを考えれば、このクルマは文字通りウェイトハンデを背負っていることになる。それも、試乗時の検証ポイントとしたい。

サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクのセットアップで、リアサブフレームがシャシーへリジッドマウントされている点がDB11と異なる。スティールのコイルスプリングとスカイフック・アダプティブダンパーの組み合わせで、かさむ車重をいなすほか、アストン マーティン初となるクラッチを用いたアクティブ・トルクベクタリング機構を備えたE-デフをリアに設置し、左右後輪への駆動力配分を変化させる。

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