比較試乗 新型アストン マーティン・ヴァンテージ vs ポルシェ911カレラGTS vs マクラーレン540C
公開 : 2018.06.17 10:10 更新 : 2018.06.17 12:36
新しいアストン マーティン・ヴァンテージはポルシェ911やマクラーレン540Cよりも優れているのかどうか。もっとも気にしているのはアストン マーティンのCEO、アンディー・パーマーかもしれません。もちろん読者の皆さまも気になるはず。確かめてみるしかありません。
もくじ
ー 拡大するカテゴリー:スーパー・スポーツ
ー 911のベストをベンチマークに
ー 猛烈なヴァンテージのエグゾーストノート
ー 3車3様、個性派揃いのエンジン
ー 英国で毎日乗るなら540C以外の2台
ー 優れているが繊細さで劣るヴァンテージ
ー 極めて高い911GTSのハードル
ー 番外編:アストン マーティン・ヴァンテージの進化
ー ポルシェ911カレラGTSのスペック
ー アストン マーティン・ヴァンテージのスペック
ー マクラーレン540Cのスペック
拡大するカテゴリー:スーパー・スポーツ
スーパー・スポーツを象徴するようなクルマは実在するのだろうか。同じ視点のもとで、真新しい3台のクルマと数日間を過ごしてみて、疑問を感じてしまった。そもそも、スーパー・スポーツというカテゴリーは自動車業界の想像の産物、どちらかというと、クルマに付加価値を与える手段のひとつに過ぎないのかもしれない。
例えば今回のようなグループテスト。価格帯やコンセプトが比較的近い3台のニューモデルを集めて比較すれば、カテゴリーとしての共通性があると思う読者もいるかもしれない。しかし実際は、運転すればするほど、3台の差異に気付かされることになる。
その違いは、クルマのキャラクターやダイナミクス性能だけでなく、クルマを購入する動機づけや、利用シーンにも表れてくる。同じ天秤に、マクラーレン540Cとポルシェ911カレラGTS、新しいアストン マーティン・ヴァンテージをかけてみても、まったく釣り合うことはないだろう。
一方で、ここ10年ほどの間に急成長するスーパー・スポーツという市場の存在は、考えるほどに不思議な存在でもある。このマーケットの先駆けとなったのは、1970年代のポルシェだといえる。その後、アウディR8やホンダNSX、日産GT-Rといった個性派が加わっているが、未だにパイオニア「ポルシェ911ターボ」の存在は大きく、比較対象とならないことはない。
かつて、ポルシェ911と同等の利便性を持つ、911よりも優れたクルマを欲している顧客の存在に気付いたポルシェは賢明だった。しかし、ここ40年に渡るモデル開発の結果が正しかったのかどうか、疑問を持つひともいるだろう。ターボは間違いなく911を速くしてくれるが、より優れたスポーツカーにしてくれると、明言できるだろうか。
現在の911では、4輪駆動もターボの図太いトルクは、幅広いモデルラインナップの中で選択できるもの。しかし、純粋にスポーツカーとして見た場合、実際に選択するか否か、吟味する余地があるとも思う。