911のベストをベンチマークに

新しいヴァンテージの開発にあたって、アストン マーティンはポルシェ911カレラGTSをベンチマークとしていたらしい。そこで新しいアストン マーティンにとって今後数年間は主要なライバルとなるであろうクルマを集めてみた。お互いに進化の過程にあるし、小さくない価格差を見れば、ライバルにならないと評するひともいるかもしれないけれど。

しかし、シャシーエンジニアとの会話で911GTSについて話題が上ると、笑顔でうなずいて、その仕上がりの良さを認める機会が増えてきたように感じる。

これまで多くの911をドライブしてきたが、敢えていうなら、後輪駆動のマニュアルで、適切なオプションを装備したGTSこそ、911の中でもベストといえるクルマだと思う。この適切なオプションとは、車高が下がる標準のスポーツスプリングにリアトレッドのワイド化、PASMアダプティブダンパー、LSD、感触の良いスチール製のブレーキ、20インチのターボSホイールとなる。これには、4輪操舵とポルシェ・ダイナミック・シャシー・コントロール（PDCC）によるアクティブ・アンチロールバーも含んでいる。

この理想的な911の走りを味わうのも面白そうだが、スペックシート上では上回る数値が並ぶ、ヴァンテージと540Cがどれだけ「スーパー」なのかも気になるところ。アストン マーティンのようなクルマのキックオフなのだから、特別でなくては。

スペックを確認してみると、911との比で、最高出力ではヴァンテージが10％、540Cは25％ほど大きい。紙上での加速数値も、出力に合わせて優れていても不思議には感じないだろう。一方でトルク・ウェイトレシオでは、アストンの方がマクラーレンよりも優れている。アストン マーティンは軽量なオプションを装備した、もっとも軽い乾燥重量を広報資料に掲載する場合が多い。額面上はアストンの41.4kg-m/tに対し、ポルシェは38.6kg-m/t、マクラーレンは37.5kg-m/tとなるから、多少差し引いて考えても充分な差がある。

すべての画像をみる　全22枚