オペル/ヴォグゾール、17年間で2兆円の損失 親会社PSAどうする?

公開 : 2018.06.17 18:10

高い利益率を誇るプジョー

2012年にPSAが倒産しかかった頃を思い出しながら、ウォーバートンは「PSAは、どちらかといえば特殊な方法で再生できました」という。長年にわたって数十億ポンドの損失を抱え、危機的状況に陥っていたプジョーは、プジョーグループが所有していた株の約半数を売却して何とか破綻を免れたのだ。

「自動車業界の歴史を振り返れば、メーカーが立ち直った話しはごまんとありますが、たいていは経済危機の折に大規模なリストラや、製品ライナップの抜本的な改善、そして大幅な販売拡大を伴いました。しかし、タバレスが統括するPSAでは、そういったことは起きていません」

「代わりに、小さなことを積み重ねてパフォーマンスを大幅に改善しているのです。たとえば、一部の人員整理や早期退職、重点的な標準化と購買コスト削減、不必要な支出の削減、慢性的に損失が発生する新興市場の仕分けなどです」

「それと、価格設定には特に重きを置いていますどのぐらい割引額を抑えて、どのぐらい価格を上げられるか、非常によく計算しているのです。タバレスは、弱いブランドや製品であっても改善は可能であると示してくれました」

PSAは例外かもしれないが、それでも戦略はうまくいっている。2017年に、会社は35億ポンド(5036億円)の利益を生み出した。これまでで最も経済的に成功した年ということになる。

プジョーの営業利益率は、大多数の大衆車メーカーが羨む数値である。ウォーバートンの言葉を引用すると、市場をリードするモデルがひとつ(5008)、優れたモデルがひとつ(3008)、そして刺激的とまではいかないけれどまずまずのモデルがいくつかあるメーカーにしては悪くない。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事