オペル/ヴォグゾール、17年間で2兆円の損失 親会社PSAどうする?
公開 : 2018.06.17 18:10
改善点はかならずある
「PSAはオペルにとってテンプレートのような存在でもあります」とウォーバートンは付け加える。
「救済するにはブランド力が弱すぎるし、10年間もGMがコスト削減を実施したあとでは為す術はほとんどない、と皮肉る人もいます。ですが、それは悲観的すぎます。優れたマネジメントであれば、必ず改善できる点を見つけ出せるのです」
「PSAの戦略をそのままオペルにカット・アンド・ペーストすれば、うまくいくかもしれません。そう簡単にはいかないでしょうが、理論的には可能なことですから」
タバレスのリーダーシップのもと、オペルとヴォグゾールの目標はこれ以上にないぐらい明確だし、成功への青写真についても然りだ。タバレスは「当社は瀕死状態にありました。ですから、存続し続けるためにわれわれはもっとダーウィン的な思考をもって、スピーディーな判断をしていかねばならないのです。成功するためには何を選択すべきか、非常にはっきりしています」と話す。
効率性のモデル
企業の成功を測る指標は数多くあるが、営業利益率こそがわかりやすくて単純な指標であるとの見方もある。
「利益率を見れば、企業のだいたいの収益性と健全性を把握することができます」と話すのはバーンスタイン・リサーチの上級アナリスト、マックス・ウォーバートンだ。「プジョーの利益率の方がVWよりも高いことに多くの投資家たちが驚かされます。VWブランドの方がモデル数、価格、販売台数の点で勝っているのに。ですが、決して複雑なことではありません」
「PSAグループの労働効率の方がはるかに高いだけのことです。従業員ひとり当たりの生産台数はVWより多く、工場ではVWよりも短い時間でクルマを製造し、VWのようにアクスル、シート、内装プラスチック部品などを自社製造していないのです」
「大衆車の製造で利益を上げることは非常に難しいことですが、最低でも4-5%の営業利益率を出せていないと、新世代の製品や技術に投資する際の基盤となるキャッシュフローが回っていないと言えるでしょう」