車両火災 ひとりの一般男性が突き止めた真実 重大リコールへの顛末
公開 : 2018.06.30 19:10
ダビデとゴリアテ 頑なな対応
どこにでもいる様な人物が、巨大な自動車メーカーを向こうに回したのだ。エクセターで電気機械技師として働く42歳のダンに会ったとき、まるで旧約聖書のダビデとゴリアテのようだねと彼にいった。
「ジョーが、うちと同じザフィーラが火事になったことを教えてくれたのは2015年10月でした」と彼は話す。「ある晩、うちにあるザフィーラの換気システムを取外して調べたところ、不具合を見つけました。自分の仮説を検証するため、対照実験を行い、火災の原因となった部品を撮影したんです」
調査の結果、ダンはマニュアルエアコンか、エアコン・レス仕様のザフィーラB(ヴォクゾール製MPVの2代目モデルをこう呼ぶ)の車両火災は、ブロワーモーターのレジスターとヒューズが、ウインドスクリーン・スカットルから浸入した雨水の影響を受けたことが原因だと突きとめた。雨水による錆が過熱の原因となり火災を発生させたのだ。最終的に火災の原因として正式に認められたこの説を、ダンはヴォクゾールとDVSAに報告したが、ヴォクゾールがこれを認めることはなかった。
ヴォクゾールの広報担当は、ダンの調査に感謝の意を表しつつも、法的には、彼ら自身も全ての可能性を考慮しつつ、オペルのエンジニアと第三者機関のサポートのもと、自らの手で調査を行う必要があると述べた。「ダンの調査もわれわれの調査と同じようなものでしたが、われわれは法廷に立った際にも、問題の原因について説明できるようにしておく必要がありました」