最高のエンジンを持つクルマたち 前編
公開 : 2018.06.30 08:10
フォルクスワーゲン・パサートW8
生産:2002〜2005年 価格:5000〜7000ポンド(72〜101万円)
パサートに8気筒が載ると知ったときは、目だたない会社の同僚がじつは地元のヘビメタバンドのボーカルだったと気づいたような感じだった。だいたい、パサートとは頑固なまでに実用的でお手ごろなクルマで個性など皆無(だからこそ、あたえられた任務は忠実にこなすのだが)と相場がきまっていたのだが、W8だけはちがった。とくにワゴン版のヴァリアントなど、5000ポンド(72万円)でいかにもちょっとわかった風にみえるクルマを気どるにはもっともふさわしい。
W型8気筒のシリンダー配置も、近年のエンジンのなかではもっとも風変わりではある。ただ、「W型」というのはちょっと誤解をまねきかねず、超狭角のV型4気筒エンジン2基を72°のバンク角をつけて1本のクランクシャフトにつないだもの、というほうが正しい。あるいは、ブガッティ・シロンのエンジンを半分に切ってターボを取りはらったもの、と大見得をきってもいい。
この4.0ℓエンジンはひくい唸りとともに滑らかにまわり、275psを発揮する。お手ごろ価格で手にはいる4WDのパサートW8に冬用タイヤをはかせれば、冬場の最高の足になってくれるだろう。