ヴォクゾール・カスケーダ1.6 SIDI ターボ・エリート
公開 : 2013.03.12 18:47 更新 : 2017.05.29 18:29
■どんなクルマ?
陽の光が大好きな、そして人から見られることが好きなドライバーのためのコンバーチブル・モデルが、この新しいヴォグゾール・カスケードだ。
但し、こういった類のモデルを購入する人にとって、実際は値段はあまり関係ない場合が多い。ブランドに価値を見出すからだ。従って、アウディやBMW、フォルクスワーゲンがもしこのヴォグゾールと同じ価格であったなら、現時点では残念ながらこのヴォクゾールを選ぶことはないだろう。
その強力なライバル・ブランドに対して、ヴォグゾールはどういった戦いを挑むのだろうか。
■どんな感じ?
とはいうのもの、アウディA5、BMW 3シリーズ、そしてボルボC70と同じサイズでありながら、アウディA3やBMW 1シリーズと同じようなプライス・タグが付けられているカスケードは大いに魅力を感じる。
リア・シートも180cm級の成人男子がゆったり座れるスペースがあるのだ。そのシャシーは、小型のハッチバック、アストラのデルタIIプラットフォームを使用しているものの、ホイールベースはインシグニアに近いサイズとなっている。
確かにそのスタイルは眼を見張るほどというレベルではないかもしれない。しかし、そのダブル・ライナーのファブリック・ルーフを持ったフォルムはエレガントということができよう。
エンジンは、138bhpの1.4ℓから168bhpの1.6ℓ4気筒ターボ・ガソリン、そして163bpから102bhpの4気筒ディーゼルを選ぶことができ、6速マニュアルまたは6速オートマティックがこれに組み合わせられる。駆動方式はすべてFWDだ。
サスペンションは、フロントがマクファーソン・ストラット、リアがトーション・ビームだが、ステアリングにスムーズさと精度をもたらすGMのハイパーストラットがフロントに、乗り心地とハンドリングを良くするワッツ・リンクがリアに追加されている。また、フレックスライド・マグネトロへロジック・ダンパーもオプションで用意される。
われわれのテストしたモデルは1.6ℓのターボ・ガソリンだった。そのパフォーマンスは、1.7トンとややヘビー級のボディにも充分なもの。リラックスしたドライビングが可能だ。
オプションのフレックスライドが装備されていたせいもあって、静かで吸収力のある乗り心地を提供してくれた。残念ながら、スタンダードなサスペンションを試すことはできなかったが、フレックスライドのダイナミックなチューニングを考えるのならば、スタンダードな足回りも悪くないと容易に想像がついた。確かにコミュニケーションに優れたというほどのものではないが、スムーズなドライビングを邪魔しない素直な足回りだった。
また、そのファブリック・ルーフの出来もよく、メタル・ルーフと同じぐらい断熱性に優れ、風切り音も少なかった。
■「買い」か?
カスケードは非常に良くできたコンバーチブルだ。しかし、問題は、最初に触れた通り、ブランド力の問題だ。確かに、鶏が先か卵が先かという問題かもしれないが、良いクルマを作るのが先か、それによって形成されるブランド力が先かということになる。
しかし、当然ながら良いクルマが先にありきなのだ。そして、その良いクルマがブランド力を高めていくことになる。ヴォグゾール・カスケードがブランド力を身につけるまでは、まだ長い道のりが必要かもしれない。しかし、正しい方向を目指していることだけは確かだ。
(マット・サウンダーズ)
ヴォクゾール・カスケーダ1.6 SIDI ターボ・エリート
価格 | 28,605ポンド(411万円) |
最高速度 | 217km/h |
0-100km/h加速 | 9.2秒 |
燃費 | 13.9km/ℓ |
CO2排出量 | 168g/km |
乾燥重量 | 1685kg |
エンジン | 直列4気筒1685ccターボ |
最高出力 | 168bhp/4250rpm |
最大トルク | 28.6kg-m/1650-4250rpm |
ギアボックス | 6速オートマティック |