ル・マン24時間2018 アストン、ヴァンテージGTEで連覇挑戦 期待のチームや新人も
公開 : 2018.06.16 08:10 更新 : 2018.06.20 10:13
こだわりのエアロダイナミクス 目指すは長期政権
早い時期からロードカーの設計に関与できるようになったことで、セイヤーズと彼のチームの仕事の進め方に変化が生じた。設計段階で、特にエアロダイナミクスとパッケージに関して、多くの時間を費やすようになったのだ。
「既存モデルがベースの場合、大掛かりな設計変更や、最適化を行うのは難しいのです」とセイヤーズはいう。「しかし今回は、例えば、車両の重心位置を下げるために、すべてのパーツを可能な限り低く搭載するといった、細部にこだわることができました」
「エアロダイナミクスを通じたダウンフォースの向上に力を入れました。もちろん、レーシングカーとはいえ、アストンにとってはそのルックスも重要です。われわれのチームがパフォーマンスに注力する一方で、彼らはロードカーとの共通点を残したいと考えているのです。そのため、空力に関しては、お互い緊密に連携して、パフォーマンスに一切の妥協をすることなく、素晴らしいルックスを手に入れることができました」
この開発手法は空力とパッケージングのみに留まらなかった。ヴァンテージGTEでは、完全専用設計のターボチャージャーを搭載した、ロードカー用メルセデス-AMG製4.0ℓV8のチューンドバージョンを積み、6速Xtracコンペティションギアボックスを組み合わせる。
昨年のル・マンでの勝利が示すとおり、多様なGTカー間でも同一条件でレースが戦えるよう設定されたバランス・オブ・パフォーマンス・ルールにも助けられ、旧型ヴァンテージは、現役を退く時点でもその競争力を維持していた。しかし、チームはこの規制に頼ることをよしとせず、このクラスで長期にわたって覇権を握るべく新型モデルの開発を行ったのだ。
「旧型では、あれ以上の出力向上と、軽量化は望めませんでした」とセイヤーズはいう。「新型はすでに旧型を凌ぐとともに、さらなるパフォーマンス向上の余地があるのです」