ヴォグゾールのコンセプトカー設計に参加 デザインの方向性決め
公開 : 2018.07.08 16:10
「英国らしさ」の実現
ヴォグゾールにとって非常に重要な「英国らしさ」という資質については、これまでもさんざん議論してきたとホープは語るが(「国内向けだからこそ一層顧客のニーズによりそうことができる」とのこと)、同時にどのように具体化すれば良いのかという議論も白熱したという。
「英国らしさといえば、まず(映画監督の)ダニー・ボイルと(ダイソン社創業者の)ジェームズ・ダイソンですね」と彼はつづける。「(美術館の)テート・モダンもですし、ロンドン・オリンピックの開会式でヘリコプターから飛びおりる女王陛下もそうです。ちょっと弁解がましいですが、逆にそうでないのは、かやぶき屋根とか、赤い郵便箱、ヒュー・グラントですかね。英国人が望む英国らしさとは、進歩的な大胆さなんです」
いっぽう、会社の立ち位置に関するアダムスの話もホープと似てはいたが、違いもあった。ホープの関心がもっぱらヴォグゾールの英国内でのブランド価値と販売の向上にあるのに対し、アダムスはヴォグゾールとオペル両方のブランド価値を「研ぎすます」形のクルマをつくり、移りゆく市場環境で新しい顧客の心をとらえることが使命だと考えているのだ。それは彼がいうところの「会社を挙げた千載一遇の大仕事」なのだ。
まずアダムスは、現在の英国とドイツのデザインには多くの似かよった美点があると指摘した。このコンセプトカー計画はヴォグゾールのみならずオペルにとってもおなじように重要なのだから、彼がそこに興味をいだくのは当然といえる。だがちゃんとした裏づけがあるのだ。たとえば、ブラウンのディーター・ラムスとアップルのジョナサン・アイブ(英国人だ)がデザインする製品に通暁するシンプルな上品さへの志向は不気味なまでに似かよっているではないか。