ヴォグゾールのコンセプトカー設計に参加 デザインの方向性決め
公開 : 2018.07.08 16:10
ヴォグゾール車の歴史を振り返る
ドイツ人の愛する進化や純粋さ、そして正確性(ポルシェ911をみればわかる)は、ハリー・ベック(1932年のロンドン地下鉄路線図をデザインした)、ジェームズ・ダイソン(「掃除機に注目があつまるなどとだれが想像した?」)、そしてコーリン・チャップマン(「まずシンプルに、そして軽量化を上乗せするんだ」)といった英国的な価値観からもとても受けいれやすいものだ。アダムスの見方はこの企画にも都合がいいが、やはりそこにとらわれるきらいがある。
ここまでの新しいコンセプトカーについての突っ込んだ話からは、ヴォグゾールの新しい夜明けを予感させられた。だが、すでにお目見えしているコンセプトカー、たとえば2016年ジュネーブショーの2座オペルGTコンセプトや2013年フランクフルトショーの4座オペル・モンツァ・コンセプトにしても、あらためて見るとそういう主義主張にのっとっていたことがわかる。また、両者ともアダムスがいまさらにふくらませようとしている方向性があらわれているようにみえるのだ。
つぎに、われわれはルートンの本社ビル裏手のヴォグゾール歴史館に場所を移した。ここでは2名の技師が75台のコレクションを管理している。アダムスは、ずらりと並ぶクルマのあいだを案内しながら「前に進むには、望むのがなにかをはっきりさせることです」といった。「ここにくれば、かつてよかったのは何なのかがわかります。よかった頃もたくさんありましたが、忘れられるのは早いですね」
新企画には大型セダンがいいというアダムスの意見にわたしの気持ちはかたむきつつあったのだが、われわれが足をとめたのは2台のコンセプト・スポーツカーのかたわらだった。