FCV、英国縦断できる? 水素ステーションは全英9カ所 トヨタ・ミライで挑戦
公開 : 2018.07.01 08:10 更新 : 2021.01.28 18:23
思いのほかよく走るミライ すでにFCV普及の地も
もうひとつ。道が空いていたおかげで、ミライのあまり予想していなかったとてもよろこばしい一面も明らかになった。車重もけっこうあるうえに、前:マクファーソン・ストラットに、後ろ:トーションビーム・アクスルとサスペンションも比較的シンプルにもかかわらず、かなりのペースでもコーナーを涼しい顔で危なげなくすり抜けていくのだ。
低い位置に燃料電池スタック・ニッケル水素電池モーターという重量物がおさまることで重心も低いのが大きな要因だろうが、シャシーもほどよくバランスがとれている。スポーツセダンとはけっして言えないが、ロールをゆるしながらも速く走れるうえ、そうして速く走りたくなるくらいステアリングも正確だ。
すべてがあいまって、この区間を走るのはとても楽しかった。そのうえ驚いたことに、なんと水素消費率も0.6kg/100kmにかえって下がるほど経済的なドライブにもなったのだ。この時点での残り航続距離は128km。アバディーンまでの道のりよりもかえって5km長くなったのだ。そしていよいよアバディーンに到着したときには、なんと61kmも残っていた。それでもハントによれば、まだ余力はあるというのだ。
とはいえ、アバディーンの真新しい水素ステーションが目に入ってきたときの安堵たるや、いかほどのものだったか。
いま、アバディーンは水素燃料電池を強力に推進している。オークニー諸島とおなじで風力発電の余剰をかかえ、おまけに斜陽となりつつある北海の石油業界では優秀な労働力があぶれているのだ。
アバディーンの水素ステーションはいまヨーロッパでもっとも稼働しているし、じっさいわれわれもいま水素補給に列をなすミライという、ちょっとありえない光景のなかにまじっている。アバディーンとオークニー諸島ではすでに水素燃料電池の経済が成りたっていることを、今回思い知らされた。