短評 マクラーレン・セナ サーキットの印象、扱いやすさが衝撃
公開 : 2018.06.29 16:10
公道も走れるレースカー
試乗が始まる前には、720Sで数ラップ走る時間が設けられた。これも、より速く、軽く、俊敏なセナに乗るために必要なのだ。
720Sをけなしたいわけではないが、セナを見ると、レーサーでないひとにも視覚的に、GTレーサーレベルのダウンフォースがもたらすスタビリティやコーナリング・グリップの効果が伝わってくる(241km/hで800kgを発生する)。
反対に、走っている速度を考慮すれば、快適性(静寂性やなめらかさ、ていねいにチューニングされたサウンド)の面で、いかに720Sが洗練されているのかがわかる。
わたしは心から、マクラーレンの技術者の誠実なアプローチを賞賛したい。他の会社なら、多くの台数が売れるロードカーと、その3倍の価格で販売される公道も走行可能な軽量レーシングカーを、こんなにも差をつけて作り分けることなどしようとしないだろう。
だがマクラーレンは、このようなクルマを購入する聡明なドライバーなら相応のインテリジェンスを持ち合わせていると信用しているのである。
運転してみると、ハンドルがかなりクイックではあるものの、セナは運転しやすいクルマだとわかった。パワフルで素晴らしく進歩的なブレーキ、ほとんど即座に操作できるパドルシフト、パワフルだが精密な中間帯でのレスポンス、シートベルトをしていなかったらシートから放り出されそうなほどのグリップ、控えめにしつけられたサーキット向けのESP(低速コーナーではスライドも許容する)。どれを取っても素晴らしい。
全てが最高の体験だった。しかし、わたしにとっての大きな驚きは、もしわたしが富裕層であったとして、これほどクレバーに注意深く開発されたクルマなら、わたしが運転してもかなりのパフォーマンスが発揮できるのではないかと思ったことだ。
きっとあなたも、乗ればそう感じるはずだ。