フェラーリを買い漁る男 なぜ「ジャンク品」買った? 「乗ってなんぼ」の精神とは
公開 : 2018.07.01 10:10
ラタロッサ購入の経緯
少し低いようだって? それはスプリングを短くしているせいだ。補強材の重さでクルマの後ろが下がっていたので、彼は古いサスペンションを取り外し、スペックの異なるフロントスプリングを3セット注文した。これでフロントとリアの高さは同じになった。
次に、リアカバーの下には、あろうことか古いヴォグゾールの4ポットが付いていたそうだ。スコットは4×2の木片でカバーを支えて開き、オリジナルのいい感じに汚れたエンジンが見えるようにした。カバーの下にはオリジナルの5速マニュアルトランスミッションもある。キャビンの切れ味の悪いアルミのトランスミッションゲートがその証拠だ。
スコットはこのクルマをカリフォルニアの男から買った。当時、彼は所有する1990年製テスタロッサ・クーペ用のエンジンカバーを探していた。オランダから購入した左ハンドルのクルマだ(彼のフェラーリは7台が左ハンドルだ)。彼はネットで検索し、仕上げをしていないテスタロッサ・スパイダーの広告を見つけた。4年前の広告だった。
「面白そうだったので、ダメもとで売り手に連絡したら、まだあったんですよ」とスコットは言う。「信じられないでしょうが、まだ売れてなかったんです。オーナーはレストアするつもりで買ったそうですが、ガレージでほこりをかぶっていました。彼はスペア部品を取るために解体するだけなら売らないよというんです。わたしはクルマを走れるようにレストアしますよと約束しました。めでたく交渉成立でわたしはクルマをここ英国に持ってきたんです。クルマ、輸送費、税金など全部で1万6000ポンド(233万円)かかりました」
フェラーリは、社長のジャンニ・アニェッリの要請で1986年に1台だけテスタロッサ・スパイダーを作った。このクルマは2016年に彼の子供たちが120万ポンド(1億7500万円)で手放した。