フェラーリを買い漁る男 なぜ「ジャンク品」買った? 「乗ってなんぼ」の精神とは

公開 : 2018.07.01 10:10

ラタロッサの走りは?

幸いにも、スコット・シバーズの左ハンドル・テスタロッサスパイダーのハンドルと運転席側ドアはしっかりしていた。だがハンドルを引き寄せると取れてしまった。

心配ない。わたしは運転席に座り、イグニッションキーを回そうとしたが、その前にまずはお祈りだ。右下に目をやれば、有名なフェラーリ・ゲートがある。もう待てない。

バックは押し下げて前だ。まずはまっすぐに下がるのだ。このふたつを正しくやらなくては。エンジンに火を入れる。思い切ってスロットルをあおると、メカニカルな軋み音とすてきな吸気音が不協和音を奏でる。スコットの隣の家の老人が役所に文句を言ったのも頷ける。

ペダルはスパルコのレーシングシューズを履いたフォーミュラ1のドライバー用だ。わたしはオートバイ用のブーツを履いていたので、アクセルとブレーキを踏み間違えないよう練習した。クラッチの重さは尋常ではない。ハンドルの重さも同様で、回すのもやっとという感じである。

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