ダニエル・リチャルド F1ドライバーは夢の仕事 2019シーズンはどのチームに?

公開 : 2018.07.08 12:10  更新 : 2018.08.06 15:08

モナコの勝利 特別な力

しかし、フランスGPでレッドブルが用意した豪華絢爛なモーターホームにいるリチャルドは、こうした状況を気にしているようには見えない。「個人的に最も難しい決断だったのは、自分が何者かも分からないまま、オーストラリアを離れ、欧州へと向かったことでした」と彼は話し、F1ドライバーはみな生まれながらにして、鋼のような自信をもっているのだろうという大方の見方を覆す。「当時は自分の能力に自信が持てなかったのです」

もちろん、彼には十分な実力があった。そして、彼のファンにとって重要なのは、それがマクラーレンでも、メルセデスでも、例えフェラーリであろうとも、リチャルドが戦闘力のあるクルマのシートを見つけるということなのだ。

驚くべきことだが、その生まれ持った感覚によって、リチャルドのブレーキング・テクニックは他のF1ドライバーと比べても卓越しており、十分な闘争心も併せ持っている。

今シーズン、これまでに上げた2勝は、中国GPでの逆転勝利に続いて、マシンに大きなトラブルを抱えながらも勝ち取ったモナコGPでの勝利だ。ほんの一瞬、いつもの笑顔から真剣な顔つきになって、リチャルドはモナコでの勝利を人生で最高の瞬間だったと語り、「ショックから解放」されたあと、直ぐにそれが「特別な力」に替わるのを感じたと話す。想像する事しかできない感覚だろう。


ルイス・ハミルトンが2013年シーズンに向けてメルセデスへと移籍した時のように、モナコGPの勝利はリチャルドの価値を高めることになるに違いない。「ルイスは非常に上手くやりましたね。偶々かも知れませんが、彼はそのことを予期していました。私の場合はどうなるか分かりません」とリチャルドは笑う。

「それでも、同じようなことは起こり得ると思います」

これまでのところ、マクラーレンのニュースについて「多少の魅力は感じる」とリチャルドは話しており、活字にすると自惚れたコメントだと思うかも知れないが、実際には決してそんな風には聞こえないのだ。

それよりも、表彰台でレーシングブーツからシャンパンを飲みことで勝利を祝うことの方が不遜であり、F1レーサーとしてお金を稼ぐ自分たちが、どれほど幸運な存在かということを明確に理解しているようだ。その攻撃的ともいえるレーススタイルによって、リチャルドはわれわれの多くが求めるレーサー像を体現してもいる。

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