比較試乗 高級4ドアクーペ対決 メルセデス・ベンツCLS vs ポルシェ・パナメーラ

公開 : 2018.07.07 10:10

好戦的なV6 車重がネックに

はじめはそうでもなかった。CLSから乗りかえると、パナメーラの低く落ちこんだシートに滑りこむのは鎧をまとうみたいだ。リムも細いステアリングは、回すとしっかりした手ごたえを伝えてくるし、レスポンスも痛快だ。

真ん中のタコメーターを残してデジタル化された計器類も、タッチパネルの指紋こそ目立つが滑らかだ。そうして絶壁のようなダッシュボードと高いスカットルをながめるうちに、要塞の中にいる気分になってくる。

いざ走りだしても、動力系が標準で電動モードになっているのでほぼ無音だ。このスポーツ・ツーリスモの走りはけものが駆けぬけるかのようで、明るい緑のアクセントがはいった黒いボディはアダプティブ・エアサスペンションの威力でピタリと路面にはりつく。

われわれがこんなふうに橋の上を走り回るなどとは、貯水池をつくったバーミンガム事業団水道局も夢にも思わなかったにちがいない。パナメーラはサイズさえ許せばどんな道にも踏みこめる気がするし、幹線道路でも後輪で地を蹴って煙を舞わせることなど簡単だ。だが後ろにラクダのこぶを背負った2.2tのクルマだということを忘れてはいけない。

動力系とサスペンションのモードはいくつか切り替えられるし、好戦的なV6が目を覚ますとがぜん楽しくなるものの、ポルシェがこのクルマを料理しきれていないような印象がのしかかってくる。モーターのみで50kmほど走れるのは経済的には魅力だが、その新しさとひきかえに増えた車重とそれを支える硬いばねのせいで、運動性にしわ寄せがきているのだ。

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