試乗 BMW M3 CS F80系に有終の美 高額すぎるスペシャル
公開 : 2018.07.11 10:10 更新 : 2018.07.18 13:34
どんな感じ?
F80系としては最高のでき
真面目な生徒が担任の先生の指示に従うかのように、BMWはF80 M3のダイナミクス性能に関する課題点を、忠実にアップデートしてきた。そんな経緯もあり、この究極ともいえる最終バージョンは、スポーツサルーンのクラスリーダーとして、秀逸の仕上がりを得ている。
その反面、情報量豊かなフィードバックや圧倒的なグリップ、中回転域での力強さや全方位的なドライバーとの密接さなどの面では、名門M3として究極の1台とはいえないとも思う。もちろん、間違いなく2014年の初対面時よりは良くはなっている。2016年のコンペティション・パックよりも、数段いい。
標準モデルのF80に対するAUTOCARとしての不満は、いくつかある。具体的には、日常的なスピードではそれほど魅力を感じられないこと、没入するほどのハンドリングが備わっていないこと、限界付近での挙動が漸進的なものではないこと。加えて、フェラーリ譲りのV6を積むアルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオや、ターボ過給されるメルセデス-AMG C63などと異なり、搭載されるエンジンが、想像力を掻き立てるようなユニットではないことも、残念に感じていた。
その点、新しいCSのシャシーは、先述のハンドリングなどの面で大きな改善を遂げている。サスペンションスプリングとダンパーに変更が加えられ、パワーステアリングとeデフの制御ソフトが見直されたのだ。ドライビングモードを問わず、ステアリング操作に伴う情報量も充分なものになった。
ただし、路面との接地感や荷重変化の面で得られた改善のうち、半分くらいは鍛造ホイールとミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2タイヤによるものではないかと思えるけれど。