ルート66:忘れられたハイウェイ アキュラNSX試乗記 前編
公開 : 2018.08.05 11:40 更新 : 2018.08.05 12:32
荒れ果てた町 NSXを借り出す
インターステートのほうからは行き交うクルマのタイヤが路面のコンクリートをたたく音がきこえてくるが、目にはいるのは空き屋につぐ空き屋だ。気候が暖かいことをのぞけば、北部の工業都市にぽっかりあいた穴にみえてくる。荒れはててはいるが、同時に趣もある。
そしてもちろん、ルート66の標識はちゃんとある。化粧直しした古いガソリンスタンドもある。古き良き時代への郷愁を商売に利用するこの小さな町では、それらに加えて古道具屋なんかも、いまでは歴史街道ルート66ともいわれる旧ルート66の中心的な要素になろうとしている。
そんな雰囲気をちょっと味わうと、アメリカ式朝食を味わったような心地良い気分になる。われわれのクルマ旅行のスタート地点から来る日も来る日もそうしていると、出発点のシカゴから1600km以上をあとにしてまだ終着点ロサンゼルスのサンタモニカ埠頭まで2400kmあるマクリーンに着くころには、ルート66ドライブの虜になっているはずだ。
わたしもそうなりたい。なんのために? ルート66の背景に惹かれたわたしは、いつの日かアメリカをクルマで横断してみたいと夢見ていた。そしてホンダにNSX(ここでは正しくはアキュラNSXだが)を貸してもらえるか頼んでみだところ、快く承諾してくれたのだ。