ルート66:忘れられたハイウェイ アキュラNSX試乗記 前編

公開 : 2018.08.05 11:40  更新 : 2018.08.05 12:32

無計画な旅 扱いやすいNSX

ここでのわれわれを見本にしてはいけない。遅がけで、へとへとで、しかも無計画だったわれわれはようやく粗末なモーテルにもぐりこみ、食事も安いファーストフード店でとらざるをえなかった。誇張ではなく、これまで見た中でいちばん不健康なひと向けの店だ。なんてすべり出しだ。すまない、ルック。わたしの責任だ。

まあ、朝には事情もよくなった。ドワイトも迂回された町だ。静かで趣はある。われわれはここでポールという男性と知りあった。古いガソリンスタンドと季節開館の美術館でボランティアをしているという。彼は通り過ぎようとするわれわれのクルマをカメラにおさめるや、招き入れた。

英国なら「いったいお前はなにをする気だ!」となりそうなところだが、ここではこれからの道案内とNSXについて話すための温かい歓迎だ。そのNSXの素晴らしさも、徐々に見えてきた。航続距離は480km以上あるし、乗り心地もとがったところがない。幅の広さもこちらではまったく問題にならないし、ばかげた造りのアメリカのランプウェイでも困らないくらいノーズの見切りもいい。

ドワイトからのルート66は、街を迂回するインターステートと付いては離れを繰り返す。ハイウェイ、街、そしてハイウェイ。ドワイトの次の町はオーデルだ。サンフランシスコやショアディッチにあってもおかしくない洒落たカフェがある。ただ、とんでもなく巨大なオムレツに、さらにポテトフライとグレービーソースまで付いてくるのはちょっと違うかもしれない。まだ朝食の時間だというのに、なんてこった。

こういうところにふたつ3つ寄れば、ルート66の通るすべてのカフェに寄って街をぶらつくと1年くらい簡単にかかることは見当がつくだろうし、実際にやってしまうひともいる。わたしも願わくばとおもうが、きっとどこかで編集長からカネの使いすぎだといって打ち切られるにちがいない。

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