ルート66:忘れられたハイウェイ アキュラNSX試乗記 前編
公開 : 2018.08.05 11:40 更新 : 2018.08.05 12:32
ひとびとの興味を集めるNSX
それを「あれはばかばかしいだけです」と切り捨てたのは、ミズーリ州レバノンでホテルの受付をしていたカレンだ。彼女はレバノン自体もさほど好きではないという。
わたしはといえば、スプリングフィールドが好きだ―シンプソンズの方ではなくて、すばらしい自動車博物館があるミズーリ州第3の都市だ。不在だった館長(ミルキーというらしい)は、魅力的な珍しいクルマを広くあつめている。近くへお越しの際はぜひ立ち寄るべきだ。マイケルという係員が、興味津々でわれわれのNSXについて訪ねてきた。
どんなクルマかって? そうだね、ルックの持ってきた4つのカバンをすっぽり飲みこんだのがいちばんビックリしたかな。でも長い距離も苦にならないし、街中ではモーターだけで静かにそっと走れるのも気に入ってるよ。それに正体を知るひとも知らないひとも、みんな気に入ってくれるからね。
そう、アメリカの自動車民俗でわたしが羨ましく思うのは、会うひと会うひとだれもが好奇心旺盛なことだ。上から目線で見られることなどない。ある町にはドライブインシアターがあったが、今年はじめての上映が2週間先だというので、立ちよるのにちょっとためらった。でも、どこに行ってもいいのだ。おもしろいクルマが一緒なら、友だちといるようなものだから。
カンザス州では、ルート66は北端を18kmばかりかすめるだけだ。ルックはバイパスができてから一方通行になった古びた美しい橋の上にのぼり、わたしはパトカーが近くの土手道を走っているというのに13万ポンド(1893万円)のスーパーカーで道の真ん中で停まったり、一方通行を逆走してしまった。とんだお騒がせだ。
後編につづく