ルート66:忘れられたハイウェイ アキュラNSX試乗記 後編
公開 : 2018.08.05 16:10
ルート66の旅は続きます。点在する街をたどりつつ果てしない荒野を走ります。途中、全米のコーナーを集めたかのような峠でNSXのハンドリングの良さを確認できました。番外編では、英国のルート66としてA66の約200kmの旅を紹介しています。
もくじ
前編
ー テキサス州マクリーンという街
ー 荒れ果てた町 NSXを借り出す
ー イリノイ州シカゴを出発
ー 無計画な旅 扱いやすいNSX
ー 大部分がインターステートに置き換え
ー ひとびとの興味を集めるNSX
後編
ー 地面に刺さる10台のクルマ
ー 全米のコーナーを集めたような峠
ー ロサンゼルスに到着
ー 番外編:英国版ルート66をいく
ー ルート66とは似つかないA66
地面に刺さる10台のクルマ
いままで見てきた豊かな部分がアメリカのすべてではないことはもちろん承知だ。あまり正面から見たくない話だってある。ラジオのニュースで、オクラホマ州は酸化窒素ガスの排出に罰則を科すと決めたと告げたあと、よく聞く3人の極右派の話になった。
しかしごらんあれ、いまは幸せきわまりないクルマの旅のさなかだし、われわれが探しもとめているのは―こりゃまたなんだ、あのクジラは! 鉄とグラスファイバー製の誕生日プレゼントとか? 近くのトイレにも説明はない。まあ、ルックにとっては今まで見た中でいちばんナイスな代物だそうだ。今回の旅の目玉のトップ3には入るだろう。
おつぎはアマリロ近郊にあるキャデラック・ランチだ。これまた有名なルート66の目玉で、10台のクルマが地中に半分埋まっている。打ち棄てられたクルマなどアメリカでは珍しくもないから、見どころは10台がそろいもそろって半分地面に埋まってお尻を突きだしていることだけだ。もともとは芸術作品としてつくられたが、いまでは消費社会を戒めるほこらのようにもみえてくる。
まあ、これ自体は見るからに醜悪だ。おまけに、あたりの切り株だらけの野原にはスプレーの空き缶が無数に散らばっている。それらに塗料がのこってはいないかと漁りまわったあげくに何事もなかったかのように夕がすみへ放り投げる子どもたちと、それを困った顔でながめる親たちの姿も心にのこった。