ルート66:忘れられたハイウェイ アキュラNSX試乗記 後編
公開 : 2018.08.05 16:10
番外編:英国版ルート66をいく
A66号線を走って楽しいなどというひとの話は聞いたことがない。だが、ここは(ほぼ)本島横断道路の東の端、海からは4,5km離れたミドルズブラ近郊だ。まあ、真の意味での英国横断クルマの旅とはいえない。しかもクルマも英国メーカーですらない、ホンダ・シビック・タイプRだ。
アメリカ人の思いえがくスポーツカーがNSXなら、英国人にとってはこのクルマになるだろう。ヨーロッパを股にかけて開発されたとはいえ、このテスト車は英国スウィンドン製だ。そこで、おなじメーカー製でもことなる市場にむけたこれら2台のスポーツカーが、それぞれの本拠地で本領を発揮できるか試そうというわけだ。
ルート66を堪能するには1カ月かかるという。全長200kmやそこらのA66なら、その気になれば午前中だけでも踏破できるだろう。われわれは1日をかけることにした。
グランジタウン近くのラウンドアバウトにある、よくある緑の標識がA66の「公式な」スタート地点だが、それではあまりに味気ないので記念にとちょっと足を伸ばしてレッドカーの海辺までやってきた。
アメリカいち有名な道と歴史的にはほぼ互角だというのに、そのA66にもどって5分ほど走ってみても、スタートをしめす華々しい表示などもなく、ましてやルート66のような古物屋などもない。ハルからペンリスまでの区間がA66の指定をうけたのはルート66とおなじく1920年代のことだが、ローマ時代の街道をほぼなぞるこちらのほうがまあちょっとは由緒があるといえる。
ちょっとアメリカを想わせるところもある。ダーリントンにあるレンガ造りの機関車はアトランティック鉄道みたいだ。いってみれば道路脇の骨董品だが、クルマを寄せてうしろに停めると感心とともにちょっと戸惑う。