プジョー208GTI プロトタイプ
公開 : 2013.03.21 20:00 更新 : 2017.05.29 19:01
■どんなクルマ?
来月、いよいよ英国で発売されるプジョー208GTIは、205GTIの再来ともいえる期待を背負ったクルマだ。そのスタイルは標準的な208の3ドアに対してより低くより幅広く、エンジンはRCAやDS3から移植された197bhpを発揮する1.6ℓのターボ・エンジンを搭載する。そのパフォーマンスは、0-100km/h加速は7.0秒未満だ。
標準の208よりもGTIはフロントで10mm、リアで20mm広いトレッドを持つ。サスペンション・レイアウトはフロントがマクファーソン、リアがトーション・ビームで、鋭敏な乗り味を醸し出すためにチューニングが施されている。スポーツ・スプリングとキャリブレーションし直されたダンパーが与えられ、アンチロールバーは修正され、フロントとリアのクロスメンバーが強化された。また、ステアリングは剛性のアップが計られている。
その他、ダイヤモンド・カーボンの17インチ・ホイールと、205/45タイヤが組み合わされ、ブレーキはフロントがΦ302のベンチレーテッド・ディスク、リアがフΦ249のソリッド・ディスクが与えられている。ブレーキは、新たに装備されたダイナミック・エア・インテイクによって冷却される。
ボディ・ウエイトは1160kgと、前モデルである207GTIよりも165kg軽く、ライバルのルノー・クリオ200よりも80kg軽い。
■どんな感じ?
クリアにしなければならないのは、今回試乗したクルマは、プロダクション・モデル以前のプロトタイプであるということだ。最終的なプロダクション・モデルは来週まで待たなくてはならない。
低くセットされたステアリング・ホイール、赤いステッチの入った本革のダッシュボード、アルミニウム製のハンド・ブレーキ・グリップ、赤いイルミネーションがハイライトとなるダイヤルなどが特徴だ。
シートに腰掛けると、そのドライビング・ポジションがベストであることがわかる。スタートは通常のキーを捻るだけ。クラッチ・ペダルを踏まないとエンジンが掛からないといった仕組みはない。
その加速は非常にエネルギーに溢れている。爆発的なものではないが、充分に逞しいフィーリングがある。低回転域でのターボ・ラグを隠すのに充分なスロットル・レスポンスを持ち、オーバーテイクもスムーズだ。
残念ながら6速マニュアルのタッチは良くない。しかし、これはプロダクション・モデルでは改良されることだろう。ステアリングは、センター付近が曖昧だが、一旦切り込んでしまえば反応は良い。エンジニアはステアリングの重さにも注意を払ったようだが、前輪への荷重のための重さか、グリップのための重さかが不明瞭な気がした。
乗り心地は総じて良く、波打った道にも充分に対処できており、ダンプにも素直に反応する。
エンジンについては、ボンネットの下から聞こえるサウンドはほとんどない。大径のテールパイプから聞こえてくるサウンドの方が大きかった。
■「買い」か?
今日のドライバーは、プジョー205GTIにあったような饒舌なコミュニケーションを望んではいないだろう。また、そういった特徴をもった過去のモデルと、この208GTIを比較して審査するのは不当なこどらおう。
しかし、路面とのコンタクトをドライバーに伝えるかということであれば、208GTIは205GTIの域に達していない。それにはステアリング・マッピングを研ぎ澄まさなければならないだろう。
最終的なプロダクション・モデルが、どのようなセッティングを施されてくるかが楽しみだが、とにかくこの208GTIは、フォード・フィエスタSTとルノー・クリオ・ルノースポーツ200と戦わなければならない運命を持っているのも事実。現時点の評価は、208GTIは完璧とは言えないが、その速さは絶対であり、信頼性も高いということだ。
(ジョン・シミスター)
プジョー208GTI プロトタイプ
価格 | 18,895ポンド(273万円) |
最高速度 | NA |
0-100km/h加速 | 6.8秒 |
燃費 | NA |
CO2排出量 | 139g/km |
乾燥重量 | 1160kg |
エンジン | 直列4気筒1598ccターボ |
最高出力 | 197bhp/5800rpm |
最大トルク | 28.1kg-m/1700rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |