固められたサスペンション　ハンドリングも敏感に

英国が誇る料理評論家、メアリー・ベリーのキッチンテーブルのごとくスムースな舗装路のうえでさえ、カップ仕様のサスペンションは明らかに堅い。タウンスピードでは市街地の凹凸にまったく追従できずに、メガーヌのボディは不機嫌にゆすられ、それなりの速度でA級路を走っても、その扱い難さは変わらない。

このクルマはランニングシューズのように快適さよりも運動性を優先している。シャシーがもつ性能を発揮させるには、ドライバーの熱量と、それなりのスピードが求められる。魅力的なホットハッチがそうであるように、このクルマはドライバーをけしかけ、速度があがれば、ようやくサスペンションが本来のダンピングを見せ始める。それでも、小さな路面不整は上手くいなすが、数cm以上のホイールトラベルが発生するような場面では、まるでそれが罪ででもあるかのように、ボディの動きを抑えるよりも、依然として断固とした堅さを見せつけるのだ。

つまり、もしこの鋼のようなダンピングと、サーキット向けのボディコントロールがお気に召さなければ、メガーヌ・カップ仕様を好きになることはないということだ。このクルマは、スムースな路面以外では、ハードに、速く走らせるのが難しいように感じられる。もちろん試したわけではないが、正直言って、このクルマは1.2mの高さから落としても何の問題もないだろう。

一方、どんな路面でも明らかな、その並外れて締め上げられたダンピング同様、そのハンドリングもドライバーが望む以上の反応を見せる。フロントタイヤはキャンバー変化に対して非常に敏感で、路面の勾配に従って片側のタイヤがもう一方に比べて下がっている様子が、ステアリングホイールから伝わってくる。路面不整に出会うと、左右どちらかのタイヤが、もう一方よりも大きな反応を示すために、まるでメガーヌ自身が選択したかのようなラインを保つには、ドライバーがステアリングホイールをしっかりと握っている必要がある。

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