神々たちの戦い　王座は譲らず

メガーヌが輝きを見せる一方で、脚さばきの乱れを露呈したようなB級路でも、タイプRであれば自信をもって攻め込むことができる。このクルマには、運転したいと思わせるだけの、非常に多くの魅力が詰まっている。そして、タイプRを運転するたびに、これはいま実際に購入することのできるクルマのなかで、最高のドライバーズカーと呼ぶに相応しいモデルだと、さらに確信を深めることになるのだ。

ホンダの2.0ℓVTECターボエンジンは、ルノーのターボラグが目立つ1.8ℓに比べ、より力強く感じるだけでなく、レスポンスにも優れ、回転上昇も滑らかだ。しかし、エンジンだけでなく、このクルマの魅力は、そのフィールに溢れるステアリングにもある。公道で速度を上げてみても、ボディの動きに対するショックの吸収が非常に素晴らしい。ソリッドなハンドリングは、調整が容易で、活気に溢れるだけでなく、非常に安定してもいる。

まさに、こうした要素の組み合わせが、ホンダ・シビック・タイプRを2017年に登場した手に入れやすいパフォーマンスカーのなかで傑出した存在にしたのであり、2018年のルノー・メガーヌRS 280の登場を待つことなく、多くのひとびとにこのクルマの購入を決意させた理由でもある。

これは神々たちによる戦いになるかと思われた。帰って来たホットハッチ界の雄が、不動の王者に挑んだのだ。しかし、AUTOCARが、イングランド南部に広がるB級路で下した評決は明らかだ。

ウイングの選手には「ひとつの技」で充分かも知れないが、メガーヌRSが栄光を取り戻すには、それだけでは不十分であり、全能の神、タイプRの時代はまだしばらく続くことになるだろう。

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