ロードテスト メルセデス・ベンツAクラス ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2018.08.19 10:10
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
そもそも初代Aクラスは非常に小さく、2代目に切り替わる直前でさえ際だって背の高いクルマだった。ホイールベースが約2.4m、全長が約3.6mといったら、現在の尺度だとBセグメントにも及ばない。それでいて、全高が1.6m近いというプロポーションは実に目新しかった。
それから20年あまりが過ぎたのだから、新型の寸法がすっかり変わり、ありふれた部類のハッチバックになっても驚くには値しない。ただし、セグメント最大級にまで肥大化したことを惜しむ声がないわけではないだろう。
それでも、このクラスではホンダ・シビックとマツダ3、スコダ・オクタビアに次ぐ広いスペースを評価する声の方が大きいかもしれない。デザインは目新しさのないものとなったが、それはプロポーションがよく、ビジュアル的なアピールが高まったと言い換えることもできる。
もしAクラスの製品としての円熟度を見た目の奇妙さがいかに影を潜めたかで計るならば、それは世代を重ねるごとに深まり、ここに来てそれが完成の域に達して買いたいと思わせるハッチバックになったといっても、賛同しかねるという意見はまず聞かれないだろう。
新型Aクラスは、MFA2と銘打たれたメルセデスの新しい小型車用プラットフォームを用い、エンジンとトランスミッションのラインナップはこれまでよりだいぶ整理されている。
2機種の新型ダウンサイジング4気筒は、ダイムラーとアライアンスパートナーであるルノーが共同開発したもので、これらがエントリーレベルのパワーユニットとなる。
ひとつは116psを発生する1.5ℓディーゼルで、A180dに積まれ、CO2排出量は110g/kmを切る。もうひとつが163psの1.3ℓガソリンターボで、今回テストするA200はこれを搭載。いまのところ、どちらもゲトラグ製7段DCTを組み合わせた前輪駆動のみのラインナップだが、近いうちにMTも投入される予定だ。
もっと高いパフォーマンスを求めるなら、全面新設計された224psの2.0ℓガソリンターボを載せたA250がある。さらにディーゼルも、よりパワフルなバージョンを準備中だ。
ご承知かもしれないが、このAクラスは、メルセデスの乗用車としては初めて、リヤサスペンションにトーションビームを採用している。グレードダウンだと憤慨するかもしれないが、このクラスのハッチバックでは広く使われているメカニズムであり、おそらくそれほど目くじらを立てるようなものとはならないだろう。四輪独立サスペンションに固執するなら、A200のトップグレードとなるAMGラインか、A250を選べばそれが装備される。今回テストするのは中間グレードのシュポルトなので、トーションビーム仕様だ。また、オプションのアダプティブダンパーも、テストカーには装着されていない。