ロードテスト メルセデス・ベンツAクラス ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2018.08.19 10:10

結論 ★★★★★★★★☆☆

「豪華で物欲に訴えるクルマだが、走りはクラストップに届かない」

もしもプレミアムハッチバックの成否をキャビンのクオリティだけで測るなら、Aクラスはライバルに圧勝できる。いささか古びたとはいえA3は別格だが、それ以外にはおそらく、デザインのアピールとマテリアルの品質でこのメルセデスに肩を並べる競合車はないだろう。

そうした強みに対し、走りの面ではわずかながら欠点がある。俊敏でバランスのとれたコーナリングをみせるが、低速での乗り心地にはギクシャクしたところがある。また、1.3ℓエンジンは十分な動力性能を発揮するが、洗練度が足りず音も耳障りな点は、安定しないトランスミッションとともに、せっかくの魅力を狭めてしまう。

結果としてそうしたもろもろが、Aクラスをコンパクトなプレミアムハッチバックのカテゴリーで最高水準とは呼べなくしている。適切なエンジンさえ得ればそうなる、との予想は裏切られた。もしこのクルマを買おうという気になっているのなら、試乗してから最終決定を下すべきだ。確かにこれはあらゆる面で、よくできた意欲作で、欲しいと思わせるクルマだ。ただし、ゴルフほど熟成されたパッケージでもなければ、A3ほど重要な部分でプレミアム物件らしい洗練性を感じさせるのでもないのである。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

インテリアにはわずかながら、安っぽすぎると感じるプラスティックが用いられている箇所を見いだせる。しかし、デジタルディスプレイの鮮明さは、このクラスの常識を変えるものだ。

サイモン・デイヴィス

インフォテイメントシステムのコントローラーにタッチパッドを見つけたときは、他社のそれを扱ったときの悪夢がよみがえり、トラウマを深くするのではないかと恐れた。しかし、思っていたよりはよく機能してくれた。

オプション追加のアドバイス

オプションのプレミアムパッケージはディスプレイが2面とも10.25インチに拡大されるが、2395ポンド(約36万円)の出費は安くない。エグゼクティブパッケージならずっと安価で、より重要なインフォテイメント用ディスプレイは10.25インチに拡大される。

改善してほしいポイント

・DCTの低速域での洗練性を高めて欲しい。
・「ヘイ、メルセデス」と銘打たれた音声操作デバイスは大概の場合には上々の働きをみせるが、なじみのないアクセントだと聞き間違えることがある。
・USB-Cソケットの採用は将来を見据えた考えだが、従来通りのUSBポートの方が使い勝手がよかったのではないだろうか。

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