試乗 新型フォード・フィエスタST 2018年最高の仕上がり
公開 : 2018.07.27 16:10 更新 : 2018.07.27 19:23
どんな感じ?
皮肉めいた表現は必要ない
このクルマの仕上がりは、皮肉めいた表現も必要がない。いくつかのささいな留意点さえ受け入れられれば、センセーショナルなほどに優れており、英国の道を楽しさで溢れさせてくれる。
まずは基本的な部分から。アルミニウム製となるペダル類のポジションは良く、純粋に快適で操作しやすいだけでなく、ヒール・トゥもやりやすい。標準装備されるレカロ製のバケットシートも、フォード車の中では最も優れた着座姿勢だと思う。シートポジションは充分に低く、お尻や腰周りだけでなく、肩周りのサポート性も高い。トップグレードのST-3にはレザーシートが奢られるが、エントリーグレードの黒のクロス張りも悪くない。シート形状は表皮に関係なく同じとなる。
ステアリングホイールのサイズも適正で、若干細身ではあるが、従来モデルよりも操作感には適度な重さと感触が備わっている。つまり、低い着座姿勢と濃密なステアリングが、クラスを超えたシリアスな雰囲気を漂わせている。間違いなく、郊外の空いた道を飛ばすためのクルマだ。
センタートンネルからそびえるシフトレバーはやや遠い。フォードのエンジニアは腕の長いひとが多いのだろう。そして、ドライブモードのセレクトボタンがあることに気付く。フィエスタとしては初めて、パワートレインの設定をノーマル、スポーツ、レースから選べるようになった。スロットルレスポンスやESC(横滑り防止装置)の設定、エグゾーストノートが 段階的に変化する。レースモードでは、60度のドリフトアングルまで制御が入らないようになるが、完全に横を向くまで残り30度という、かなり攻めた設定となる。
特に英国の路面環境は、トレーリングアスクルには厳しいことが多い。フィエスタ全体の10%はSTモデルになると予想しているフォードは、実用性の部分も犠牲にしなかった。そこで、特徴的な減衰力を持ったダンパーが本領を発揮する。乗り心地は硬く、ボディが弾みがちなコンパクトカーであるにも関わらず、ボディの動きは常にコントロールされている。