ヒュンダイ・ヴェロスター・スポーツ1.6GDi DCT
公開 : 2012.03.16 15:02 更新 : 2021.02.20 18:32
■どんなクルマ?
ヒュンダイ・ヴェロスター・クーペのトップ・モデルで、スポーツ・トリムと1,250ポンド(16.3万円)高となるヒュンダイ・オリジナルの6速デュアル・クラッチ・トランスミッションが組み合わされたモデルが1.6GDi スポーツだ。
そのスポーツトリムの走りにかんする装備は、18インチ・ホイールと、標準の215/45R17にかわる215/40R18サイズのタイヤの変更が主で、スプリングとダンパーのセッティングはスタンダード・モデルと変わりない。但し、タイヤ・サイズの変更のため、DCTトランスミッションのファイナル・レシオは高くなっている。3.667:1が5速と6速ギアに、そして4.813:1が1速から4速ギアに適用される。また、マニュアル・トランスミッションの場合は4.267:1のファイナル・レシオを持つ。ちなみに、DCTトランスミッションは35kgほどの重量増加になる。
ヴェロスターは新しいi30ハッチのプッラットフォームを利用する。ただ不思議なことに、ハッチバックがマルチリンクだったのにたいし、クーペはシンプルなツイステッド・ビーム・リア・アクスルというサスペンション形式だ。
■どんな感じ?
DCTトランスミッションは、ヴェロスターにスムーズな変速をもたらす。そのため、街中でのドライブでは非常に扱いやすい。ステアリング・ホイールに付けられた右側がアップ、左側がダウンのパドルシフトは、裏道を走るときなどはキビキビとした操作が可能だ。しかし、6速マニュアルに比べるとDCTモデルの動きは鈍いように感じる。それは数字でも明らかで、0-100km/h加速のタイムもDCTのほうが珍しくマニュアルよりも0.6秒も遅いのだ。
燃費とCO2排出量に関しては、DCTとマニュアルでは、15.3km/lに対して15.6km/l、146g/kmに対して145g/kmと若干ながらDCTの方が良い数字を稼ぎ出している。しかし、ちなみにわれわれのテストでは、DCTが9.9km/lに対して、マニュアルが10.5km/lという結果だった。
スポーツトリムには、ラグジュアリーなオプションが用意されている。熱線入り本革シート、パノラミック・ティルト&スライド・サンルーフ、クルーズ・コントール、スタート・ストップ・システム、リアビュー・カメラ、18インチ・ホイールなどがセットで2,500ポンド(33万円)。更に、タッチスクリーンの衛星ナビゲーションは1,100ポンド(14.4万円)のオプションとなる。
ロー・プロファイル・タイヤは、ステアリングにエッジを持たせ、ターンイン時のシャープさを加えることに成功している。乗り心地はやや固めではあるが、ヴェロスター・スポーツは、総じてスタンダード・モデルのような振る舞いを見せる。日常のドライブに関してはかなり愉しいクルマで、適度な速度域までは機敏な動きを見せる。
138bhpの1.6リッター・エンジンは気持ちよく吹け上がるが、僅かに17.0kg-mのトルクは非力さを感じる。スピードが上がるにつれ、パワーステアリングが緩慢になり、ボディコントールも効かなくなってくるので、その領域においてはフォルクスワーゲン・シロッコなどのホット・ハッチには敵わない。ヴェロスターの高速安定性に対する不安は、昨年テストした時も感じたことだ。
■「買い」か?
興味を惹かれるスタイリングと実用的なキャビン、そして抜け目のない価格という新しいヴェロスターのパッケージの魅力は、より高価なDCTバージョンであっても同様だ。また、贅沢なスポーツ・トリムも魅力的である。しかし、マニュアルのベーシック・モデルのほうがずっとバランスに優れているように感じられた。
(ジュリアン・レンデル)
ヒュンダイ・ヴェロスター・スポーツ1.6GDi DCT
価格 | 21,745ポンド(285万円) |
最高速度 | 198m/h |
0-100km/h加速 | 10.3秒 |
燃費 | 15.6km/l |
Co2排出量 | 145g/km |
乾燥重量 | 1279kg |
エンジン | 水4気筒1591cc |
最高出力 | 138bhp |
最大トルク | 17.0kg-m |
ギアボックス | 6速デュアル・クラッチ |