マクラーレン、急成長のワケ 各部門チーフに聞く成功の秘訣 前編
公開 : 2018.08.04 11:50 更新 : 2019.05.04 13:03
生産量よりも技術を最優先に
インフラストラクチャープロジェクトの経験豊かな執行役員(そして製造部門の前チーフ)アラン・フォスターは、今まで専念していた市場の大きなプラントをロシアで立ち上げるのをやめて、2005年にマクラーレンに加わった。
マクラーレンを発展させるために、毎日2台のSLRを製造していた会社をどうやって日産20台に引き上げるか。この話を始めた日のことを彼は良く覚えている。「『さて、みなさん』と同僚は切り出しました。『どうすれば必要な台数のクルマを生産できるでしょう?』。わたしははっきりと言ったんです。今の塗装部門では新たに必要な台数を扱うことはできません。製造フロアの拡張も必要です、とね」
「ではどのような生産システムを目指すのか? 重要な決断をしなければなりませんでした。大量生産する場合、数を追うと往々にして技術がないがしろにされがちです。しかし新生マクラーレンにとって技術は最優先されるべきものでした。
われわれはF1ではっきりと技術を志向しています。エンジニアもみなそれを望んでいます。ですから、顧客に最新最善の技術を提供するため、われわれの製造プロセスは可能な限り柔軟にしなければなりませんでした。でもうまく行ったんですよ。この8年間の生産で、同じクルマを2度つくったことがあっただろうかと訝しむくらいなんです」