マクラーレン、急成長のワケ 各部門チーフに聞く成功の秘訣 後編
公開 : 2018.08.05 08:10 更新 : 2019.05.04 13:03
金儲けの話
マクラーレンのCFOポール・バディンは、ちょっと面白い会計士だ。570GTを乗り回し、世界中のマクラーレン販売店を訪ねまわり、ドライビングイベントやモーターショーにはいつも出向き、ニューモデルにサインしたりもする。
彼はマクラーレンが儲かるプロジェクトにだけ手を付けるよう促すご意見番だ。そしてそれは、価格、台数、製造費、開発費、固定費、それに販売後の収益といったものを正確に割り出すことでもある。これを間違えてしまうと、どんなに価値のあるクルマでも作る価値はなくなってしまう。
バディンはマクラーレンが2010年代半ばに最初のクルマをつくり始めた頃からのメンバーだ。彼は会社が今後も「ドッグイヤー」で成長すると信じている。彼は最近では70の金融機関を相手にする部門を統括している。仕事を始めた頃は20だった。
その頃、会社は7000万ポンド(103億円)の負債を抱えていたが、総売上高は600万ポンド(8億8700万円)しかなかった。「もしわたしがリスクをまともに考えていたら、とてもストレスフルだったでしょうね」とバディンはいう。「でもわたしはマクラーレンの将来性にいつも自信を持っていました。わたしの仕事を単にスコアを付けるだけという人もいますが、わたしはチームの一員であり何が起ころうと責任も皆と一緒だと考えています」