マクラーレン、急成長のワケ 各部門チーフに聞く成功の秘訣 後編
公開 : 2018.08.05 08:10 更新 : 2019.05.04 13:03
製造部門との関係性を重視
彼が広範囲にわたる自社の製造部門を頻繁に訪れるのは、単にお愛想のためではないと彼ははっきりいう。「わたしは会議で自信をもって話せなければいけないのです」とバディンはいう。「誰かがこのクルマを開発するにはXの費用がかかると大きめの数字を言ったら、『いや、そうじゃない』と言えなければならないんですよ」
マクラーレンは4年で収益性を20%改善する強気の見通しを掲げるが、バディンは総支出額のグラフがU字型だという。これほど多くの投資を行っても戻ってくるのは少しずつなのだ。「われわれは上り調子になっています」と彼はいう。「最下点を脱したのはいいと思いますが、しっかりとした成長を維持しなければなりません。年産5000台の規模になれば大きく違ってくるでしょう。しかし成長を維持しなければ何にもなりません」
バディンと話していると、クルマの開発・製造以外にも成長に影響する要因はたくさんあることに気付かされる。「いつも見ている警告ランプがあります」と彼はいう。「毎年、状況は変わってきます。われわれは販売台数だけを気にしているわけではないのです」
「われわれの製造能力や開発製造コストが健全かどうかにも、つねに気を配っています。為替レートもきわめて重要です。われわれは92%のクルマを輸出しており、70%はドル建てかユーロ建てです。生産や販売がままならず、収支決算がとんでもなく低いときもあります。そんな場合にも対応しなくてはなりませんが、わたしのような人間にとってはそれこそが挑戦なんです」