マクラーレン、急成長のワケ 各部門チーフに聞く成功の秘訣 後編
公開 : 2018.08.05 08:10 更新 : 2019.05.04 13:03
すべてをまとめるということ
2012年にCOOに就任し、1年後にマクラーレンのCEOに就いたマイク・フレウィットは、初期のクルマの品質欠陥を一掃し、年間4000台を生産できる事業を短期間で作り上げたことで世界的な評価を受けている。2011年の生産能力の8倍にあたる規模だ。
品質を保ちながら望みの台数を生産できることが自分の強みだとフレウィットはいう。フォードからマクラーレンに移るときのスケールの変化を皮肉っぽく引き合いに出しながら。「フォードを退社した金曜日に」と彼はいう。「8700台のクルマを生産しました。マクラーレンに移った月曜日に生産したクルマは6台……」
フレウィットは珍しく謙遜しながら、マクラーレンの事業をうまく立ち上げる「起業家精神は持ち合わせていなかったと思う」と述懐する。「わたしは有能な管理職なんです」と彼は説明する。「前にいたフォード、ボルボ、それにロールス・ロイスが持っている製造に対するプロ意識を根付かせようと最善を尽くしてきたんです」
「わたしが来る前からあった最大の資産はこの素晴らしいブランドでした」と彼はいう。「レースで培った驚くべき評判はとても伝えやすいものでした。われわれの唯一のロードカーだったF1が決定的なモデルだったんです。それに、すでにあった強固な株主の基盤も強くなる一方でした。しかし、必要とする組織を構築するのはとても大変で時間もかかりました。われわれには(わたしやアラン・フォスターのような)人材の豊かな経験と大学を出たばかりの若い社員のフレッシュなアイデアの両方が必要なんです」