比較テスト プレミアムEV対決 ジャガーIペース vs テスラ・モデルS 75D
公開 : 2018.07.28 10:10
まさにドライバーズカー 問題は乗り心地
Iペースはそんなミスは冒していない。フラットな姿勢を保ったままコーナーを素早く駆け抜け、その重量を上手く覆い隠すことに成功している。その長大なホイールベースにもかかわらず、このクルマは非常に扱い易く、ハードに走らせても、ドライバーの右足に反応して、機敏かつ正確に狙ったラインをキープすることができる。
いまのこの時代、スタビリティーコントロールなどの安全装備を完全にオフにすることなどできないが、ほとんどのドライバーにとって、ほとんどの時間、このクルマの限界のはるか手前で、Iペースはそのグリップと落ち着きを保ち続ける。とりわけ、ステアリングが素晴らしく、内燃機関を失ったことでクルマとの繋がりが希薄になったとしても、このステアリングによってその喪失感をカバーすることができるはずだ。
EVとして、Iペースはドライバーズカーと呼ぶに相応しいモデルであり、少なくとも5人が乗ることのできる、車重が2tを越えるファミリーカーとしては、素晴らしい出来栄えだといえる。
そのボディサイズにもかかわらず、テスラとジャガーの乗り心地は同じようにとても褒められたものではない。ジャガーは低速における路面不整への対応でテスラに勝り、一見より快適に感じるが、速度が上がるにつれ、テスラのほうが優れたボディコントロールを見せ始める。Iペースはボディの動きが突然激しくなったように感じられるが、さらに速度を上げると、再びテスラの乗員の方がその乗り心地に不満を募らせることになる。
1日を共に過ごしたあと、この比較試乗からふたつの重要な事実が明らかとなった。第一に、モデルSはその発売以来、着実に進歩を続けて来たということだ。これまでライバル不在ではあったものの、Sを販売した当時のテスラは、ロータス・エリーゼをベースに開発したロードスターという名のモデルだけをラインナップする、ほとんど新興企業といっていい存在だった。そして、6年後のいまも、テスラ流を好むひとびとにとっては、依然として有能で、魅力的な存在であり続けている。