米レース史最大の事故から15年 なぜマクラーレンのテスターに? インタビュー

公開 : 2018.08.11 16:10

いったんはインディに復帰

「自分の人生を振り返ってやり直したいと思うことは何ひとつありません」と彼は話す。「いい経験をたくさんしてきたし、悪い経験からは色々と学んできました。不満はひとつもありません。とは言え、事故のことは毎日思い出してしまいます。怪我をしたところがまだ少し痛みますからね」

彼の話から、なぜブラックが際立つ存在であり、すぐにマクラーレンで活躍できるのかがわかるが、それにはまだ続きがある。事故から18カ月経たないうちに彼はインディに復帰し、予選で最速タイムを叩き出したが、レースの特殊なシステムによりポールポジションは獲得できなかった。

ブラックいわく、「わたしはまだ戦えることを示したかったのです。当時わたしは損傷した関節用の薬を服用していましたが、最初のテストまでにやめなければなりませんでした。そして、やめると身体は鋼鉄のように固くなってしまいました」そこまで話すとひと呼吸おき、「その状態から、インディの平均時速370km/hを超える速いタイムを出すのはかなり大変なことでした」と控えめなコメントを付け加えた。

その後数カ月間熟考した結果、彼はレースから引退した。「目標を達成しましたし、すべての空気を吸い込んだような感じがしたのです。それまで目標に向かって懸命に頑張ってきたので、くたくたでした」

それもそのはずだ。どんな意思決定をする時でも、困難に立ち向かう時でも、この男は他の人よりもシビアだったのだから。

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