ロードテスト フォルクスワーゲン・ポロ ★★★★★★★★★☆

公開 : 2018.08.18 10:10

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

乗り味 ★★★★★★★★☆☆

ポロの乗り味はしなやかかつ穏やか。静かで、ゴムの足を持つようだ。そして、その快適さは、コンパクトカーではなかなか望めないほどである。高速走行時のキャビンは安定し、大きくなだらかな凹凸を越える際の挙動も適切に抑えが利いている。市街地での速度域では、スピードバンプを越える際にもしなやかに入力を吸収していなす。細かく鋭い凹凸は感じさせるが、突き上げはめったにない。小さく安価なクルマだが、ラッシュアワーの混み合う道を走っていてもストレスや緊張は最低限で済み、高速道路でも安心して、より大きなクルマに囲まれても気後れせず速いスピードの流れについて行ける。

そこそこに軽く、そこそこに速いステアリングを持つポロは、市街地の速度域では十分に俊敏で、コンパクトなサイズであることに輪をかけて、グリップレベルとレスポンスが優れた運動性を生んでいる。フォルクスワーゲンが常にリニアで予測しやすいハンドリングを指向するおかげで、実に運転がしやすい。クラス最強レベルのグリップや夢中になれる走りを期待できるクルマではないが、ボディコントロールは少なからぬライバルに勝り、非常にバランスのとれたグリップが曲がり始めはアンダーステアにしっかりと抗い、コーナリングが進むにつれて徐々にそれを許容していくが、安定志向に終始する。

はっきり言えば、ポロのハンドリングに楽しさはほとんど見いだせない。しかしそれは、意図的なチューニングの結果である。感覚の鋭いドライバーにとっては、走りをより充実したものにしてくれる外的要因の影響を、敢えて取り除くようにしてあるのだ。つまり、コーナリング中などは有効にステアリングの手応えが増すからといって、前輪からそれ以上の情報を受け取ろうとしても、グリップ限界までの余力を示す路面の感触などはほとんど伝わってこないのである。シャシーもまた、スピードが上がっても常に安定感と安心感を保っているが、スロットルを残したままコーナーに入り、意図的に負荷を抜いてみた後輪の様子をうかがうことはできない。

歴代モデルがそうであったように仕立てようという意図は、存分に活かされている。なめらかで、安心感があり、静かで、ドライバーに優しく、守られていると感じさせるクルマだ。しかも、それは過去のモデルも、同じクラスのライバルたちも上回るのである。

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