試乗 ヒュンダイNEXO(ネキソ)  未来感ある一方、価格/操舵に難

公開 : 2018.08.21 17:40  更新 : 2021.03.05 21:37

ハンドリングに違和感

ネキソは街中での取り回しも容易だ。これは高いドライビングポジションも関係していそうだが、いささか不満もある。奇妙なステアリングフィールもそのひとつで、なぜだかわからないがハンドルが簡単にブレてしまう。まるで誰かがステアリングコラムを掴んで、ドライバーを怯えさせようとしているようだ。

かと思えばコーナーではクルマが重く感じられ、少しスピードに乗ってコーナーに侵入するだけで横転しそうに感じられる。ネキソはボディサイズの割に1814kgもあるため、そう感じるのも仕方ないのかもしれない。

ネキソは、快適に感じる範囲内で走る限り、高速道路や市街地、穏やかに流れているA級路でまさに必要十分の走りをする。しかし、その範囲はかなり狭い。キャビンは一見かなりモダンに仕上がっているが、その実いい加減な作りだ。平板で広いセンターコンソールには四角いボタンで溢れかえっている。

高価格とインフラ不足が課題

ネキソは、SUVとしてはそこまで悪いクルマではない。満タンで600km以上走るし、再充填にも5分とかからない。それに排出するのは水だけだ。コンセプトとしては非常に素晴らしいと言えるだろう。まさに既存の概念を覆す存在だ。それでも、このクルマで満足できる人はほんの一握りだろう。というのも、現在英国には水素ステーションが15しかないのである。

もし水素ステーションの近くに住んでいないのなら、ネキソをはじめとする水素自動車は役立たずで終わってしまう。長い航続距離とゼロエミッションを実現しているだけに、とても残念な話だ。2025年までに水素ステーションの数を65まで増やす計画はあるものの、インフラが整備されるまでは水素はどこまでいっても未来の燃料のままだろう。

ネキソは車体価格の高さにも悩まされている。正確な金額は発表されていないものの、6万ポンド(891万円)はくだらず、トヨタ・ミライの6万6000ポンド(980万円)よりも少し安い程度だろう。

ヒュンダイのエンブレムも、ドライビングエクスペリエンスも販売の助けにはならならない。インテリアにしても、柔らかい感触で弾力のあるプラスティックや複雑な造形のスピーカーグリルなど、かなり努力した後はうかがえるものの、クオリティは価格相応とは言い難い。

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