「ロードローバー」ブランド新設へ(2) そのリスクとは ジャガー・ランドローバー
公開 : 2018.07.30 06:10
ジャガー・ランドローバーによって、新たに商標登録された「ロードローバー」というネーミング。そのメリットと、リスクについてレポートされています。年間100万台販売という目標達成に向けた起爆剤になるのでしょうか。
もくじ
ー なぜ? 新ブランド立ち上げ
ー JLRの戦略 ロードローバーでリスク分散
ー 積極的な投資を続けるJLR
なぜ? 新ブランド立ち上げ
ジャガー・ランドローバー(JLR)が、「ロードローバー」という新ブランド名を商標登録したのは、既報の通り。
しかし、ラグジュアリーEVも含めて扱う「ロードローバー」を立ち上げるのは、不必要なリスクを負うという考えもある。とくに、レンジローバーが持つブランド力を考えればなおさらだろう。
一方で、JLR幹部がレンジローバーのEV展開に難色を示したのには、多くの理由がある。
まず、レンジローバーを名乗る以上、オフロードの走破性を妥協するわけにはいかない。かといって頑丈なバッテリーを備えたフルEVの開発にはかなりの技術的困難が伴う。とくに、パワートレインの防水性は難しい問題だ。
次に、EVではバッテリーの航続距離が切実な問題で、これには空力的な性能が大きく関わってくる。レンジローバー/同スポーツでは前面投影面積が広すぎて抵抗が大きく、EVとしては効率的ではないのだ。おそらくテスラ・モデルXくらいの全高が今の限界だろう。
さらにJLRは、ブランドの明確な長期戦略を持っており、年間販売台数100万台という中期目標の難しさも理解している。ジャガーはFペースの登場で大きく販売を伸ばしている(Eペースもブランドのさらなる躍進につながるだろう)が、ロードカーの販売台数はまだまだ少ない。