アストン マーティン・ラゴンダを24台所有する男 一体なぜ? ガレージを取材
公開 : 2018.08.11 12:10
あたらしいラゴンダ・コンセプト同様、かつてのアストン マーティンにもおなじ名前を冠する、未来を先取りしたクルマがありました。なんと24台のラゴンダをひとりで所有する男、ロジャー・ダディングを、リチャード・ブレムナーが直撃します。
もくじ
ー ひとりで24台のラゴンダを所有
ー 衝撃的なデザイン
ー 出ては消えを繰り返したラゴンダ
ー ティックフォード・ラゴンダに乗り込む
ー 80年代らしからぬ操作系 V8アストン同様の走り
ー 今でも劇的で賛否あるクルマ
ひとりで24台のラゴンダを所有
ロジャー・ダディングは、1976年から1990年にかけてつくられたアストン マーティン・ラゴンダのうち3.7%を所有しているという。まあ、つくられたのがほんの一握りなら、それも別段たいしたことのない話だ。ところが、このやたらと長く低くエッジの立ったボディにおおきなタイヤをはいたセダン、累計生産は645台にのぼるのだ。
ということは、ダディングの所有は24台ということになる。V型にならんだシリンダーの数に直すと192、燃料タンクのキャップだと48個だ(ラゴンダには給油口がふたつある)。20世紀後半のデザイン様式のひとつ、速度やエンジン回転数その他の計器類をデジタル表示するダッシュボードも24個あるということだ。
ダディングひとりで24台も持っているとはたしかにおどろきだ。でもそれとて、技術への挑戦を鋭い形でつつんだこのクルマ自体が登場した1976年ほどではない。一見して異様なプロポーション、セルフパロディのような鋭い輪郭はもとより、こんな未来的なクルマがアストン マーティンから登場するというまったくの意外性に、開いた口がふさがらなかったものだ。
デザイナーのウィリアム・タウンズがもし生きていたら、1976年の自身の作品にこめられた大意が、ラゴンダ再生に向けたコンセプトカーの形にもなおいくつかあらわれていることに驚いたに違いない。それに、1975年にデザインしたオリジナルのラゴンダじたい、15年間も生き長らえて645台も造られるとも思っていなかったはずだ。