アストン マーティン・ラゴンダを24台所有する男 一体なぜ? ガレージを取材
公開 : 2018.08.11 12:10
衝撃的なデザイン
それにしても、本格的にラゴンダのデザインにとりかかる前からタウンズにはもう腹案があったのではないか。というのも、デザイン開始から生産まではわずかに10カ月しかなかったし、その間も素晴らしいラインは1本たりとも修正されなかったというからだ。
このクルマそのものも確かに衝撃的だった。実際、1976年のアールズ・コート・モーターショーではもっとも来場者の目をくぎ付けにした。現在のアストン マーティン社デザインチーフ、マレク・ライヒマンも「はじめてウィリアム・タウンズのラゴンダを見たとき、異空間から来たかと思いましたよ」と回顧している。
なにも彼だけではない。針のようにとがったノーズ、するどく区切られた窓ガラス、テールと面一の長方形テールライト、これも長方形のテールパイプ、宇宙時代の象徴といってもよさそうな大きく傾斜した巨大な平面状のウインドスクリーンに加えて這いつくばるようなボディの長さが、単なる驚きの目だけでなくときには困惑や賞賛の目をも集めたのだ。ありていにいえば単なる3ボックスのセダンだが、そういってしまうとこのクルマの人目をくぎ付けにする力をあまりにも蔑ろにしてしまうことになる。
ラゴンダの新奇性の追求はインテリアにもおよぶ。メーターパネルにはブラウン管ディスプレイが並び、オートマティックのトランスミッションを含む多くの操作系の入力はタッチパッド式なのだ。ラゴンダをある程度乗ってきたダディングも「電気系のトラブルには悩まされました」という。