アストン マーティン・ラゴンダを24台所有する男 一体なぜ? ガレージを取材
公開 : 2018.08.11 12:10
出ては消えを繰り返したラゴンダ
「キーを挿したままクルマを離れることもできません。ダッシュボードの裏側なんて、もう電線と基板の花畑ですよ」彼は技師にこの電気系トラブルの解決を頼んでいるともいう。また、これまで分解した4台のラゴンダには、ダッシュボードの両端に小粋にも「小さなロケット船のバッジ」がはんだ付けされていたとも語る」
クルマ自体もそうだったが、小粋ながら隠れた存在のラゴンダというブランドは、創立41年目となる1947年にアストン マーティンの傘下に入ると出ては消えを繰り返してきた。最近は2015-16年に限定生産されたセダンのタラフがふたたび脚光を浴びたが、これも200台の予定に対し生産は120台にとどまった。とはいえ当時セダンとして世界一だった1台69万6000ポンド(1億300万円)という価格にしては、悪くない売れゆきだったといえよう。そしてその価格こそがタラフ最大の特徴といえる。カーボンファイバー製のボディはそのつぎだ。
だがそのタラフといえども、今年のジュネーブショーでお披露目されたラゴンダ・コンセプトの大胆さの前では霞んでしまう。今度は動力系が電動となり、従来のエンジンとトランスミッションが2台の電動モーターとインバーターそして床下のバッテリーに置きかわったことで、ボディの基本形からして大きく変貌したのだ。
贅沢な室内空間も広さ重視となり、動力系も変わったにもかかわらず、リアピラーやとがったノーズそして長大なホイールベースなどには、タラフとおなじくウィリアム・タウンズの描いたラゴンダの面影をいまだに残している。