ラスト・ドライブ VWビートル 歴史やヒット作を振り返る

公開 : 2018.08.04 16:10

英国南海岸での試乗

最初の質問の答えは、南海岸だ。日差しがふりそそぐ穏やかで冷たい気候で、目を細めて見れば景色もカリフォルニアに見えなくはない。おまけに、好物のおいしいアイスクリームも食べられる。

第2問のほうだが、旧型のゴルフを狭くしたような感じだ。でも嫌いではない。1.2ℓのターボエンジンは扱いやすく、ギアシフトも心地良いし、レトロ調デザインの小径ホイールに丈の高いタイヤをはく足回りは穏やかな乗り心地をもたらしてくれる。

内装のほうは中途半端にかわいいというところ。ダッシュボードの上半分は昔懐かしい平板状に仕立てられ、その中に切りとられたグローブボックスは申し訳程度だ。だが機能的でないのはそこだけ。どこから見てもビートルにほかならないのに、タイプ1や1998年のニュー・ビートルとはたしかに別物なのだ。完全な模倣ではないのは立派なことではある。だが、新しいフィアット500のようにかわいらしいわけではなく、ミニのようにあらたなアイデンティティを創り出したわけでもないこともまた確かだ。

そして、もう終わりがくる。それだけだ。形を変えつつもテントウ虫のような屋根をしたフォルクスワーゲンが80年にわたってつくられ、来年から先はない。それは、ことによると思ったよりも重大な注意をひくことになるかもしれない事実だ。

いまのところ次はない。だが、フォルクスワーゲンのIDシリーズの一員として、4ドアのバッテリー式電気自動車として生まれ変わってもいいではないか。ビートルのかたちはそのままに、今度はモーターが後輪を駆動するのだ。これからも楽観的に成りゆきを見まもろうではないか。

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