AMG C63 S、フェイスリフト 2018年型に初試乗 不動のクラス王者

公開 : 2018.08.02 10:10  更新 : 2021.01.30 21:38


一般道がさらに得意になった

AMGは、今回のフェイスリフトで与えたサスペンションの変更に関しては、あまり声高に触れてはいないが、おそらく戦略的な理由があるはず。510psを繰り出すスーパーサルーンのサスペンションが、幾分柔らかく設定されたと知られると、販売数に影響が出そうだからだ。しかし実際は、C63のダイナミクス性能に関して、まったく悪影響は及ぼしていない。

新しいC63は、硬さやシャープさ、鋭さといった面ではフェイスリフト前のモデルより丸くなったことは確か。フェイスリフト後のC63なら、スポーツやスポーツ+モードであっても、一般道で使用できるようになったから、その変化は間違いない。ただし、フェイスリフト前後のモデルを乗り比べなければ気づかない程度の、微妙なものではある。充分に衝撃を吸収し、乗り心地も犠牲にすることなく、強い減衰力を保持できている。結果としてC63は、より一般道向きのスーパーサルーンになったと思う。

ステアリングフィールは完璧で、フェイスリフト以前同様に、意のままの速さと重さ、濃密さを備えている。ただし、アルファ・ロメオジュリア・クワドリフォリオほどの俊敏さにまでは至っておらず、コーナリング中のロールなど、ボディコントロールも想像よりも重たく感じられる面もある。

電子制御をオフにすれば、テールスライドは漸進的に発生し、強い駆動力でパワーオーバーステアに持ち込んでいく感覚は病みつきになるほど素晴らしい。精密機器として目指すべき以上の、グリップ力やサスペンションの動きを実現しているといえる。その心地よさには、しばらく浸っていられれるはず。

このパワーオーバーステアだが、さらに楽しめるシステムも追加されている。今回、AMG GT-Rにも積まれる新しいトラクション・コントロールシステムによって、電子制御によるセーフティネットは残したまま、オーバーステアを楽しめるようになった。ダイヤルの9がオフで、数字が小さいほど制御の介入が強くなるが、どれも充分に効果的な設定だ。わたしとしては、7か8がベストだと感じた。中には必要ないというひともいるだろうけれど。

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